今回は、メキシコでもっとも有名なソースのひとつ、ワカモレ(グアカモレ)をとりあげます。
皆さんご存じの通り、日本では英語に由来する「アボガドディップ」の名で知られていますが、本来の名はグアカモレです。
グアカモレは、ナウアトル語の「AHUACATLMOLLI」がもとになっています。アボカドを意味するAhuacatlとソースを意味するMolliというふたつの単語があわさったものです。スペイン語ではアボカドのソース(SALSADE AGUACATE)と訳せるのですが、メキシコではグアカモレと呼ばれるようになりました。
おいしくて栄養満点のこの果物の名の語源もナウアトル語にあります。
ラテン語の学名Persea Americanaは、ナウアトル語で「睾丸の木」を意味します。木になっているときの果実の形が似ているからです。
アステカ神話によると、トルテカとアステカの重要な神であるケツァルコアトゥルが、グアカモレの作り方をトルテカの人々に教え、彼らがメキシコのほかの谷に住む人々につくりかたをつたえました。マヤ語では、アボカドをOONといいます。
グアカモレのオリジナルなレシピでは、アボカドをペースト状になるまでつぶし、刻んだトマトやレモン果汁、塩、トウガラシを加えます。
グアカモレには非常に多くの作り方があり、コリアンダーやタマネギ、コショウを加えたり、賽の目状に切ったアボカドをマヨネーズと塩であえるだけだったり……。アボカドをすりつぶすだけという地域もあるし、水やクリームを加えて独特の風味を加える例もあります。
メキシコは世界最大のアボカドの生産・輸出国で、大消費地でもあります。
日本でもアボカドを食べる習慣がひろがり、すしでも活用され、刺し身のように醬油をつけて食べることもありますね。
グアカモレの変色を防ぐには、種を置いておきます。それによって、酸化を防ぎ黒く変色するのを遅らせることができます。
メキシコではグアカモレは、タコスをはじめ、多くの料理に添えられます。ケーキやサンドイッチ、スープ、アイス、さまざまなシチューにも使います。
手早く簡単に料理ができて経済的。しかもとてもおいしい。アボカドを家に常備することをおすすめします。
私が子どものころ、母は台所にアボカドを欠かしたことがありませんでした。グアカモレをつくるのは私たち兄弟の役目でした。さまざまな煮込み料理に添えて食べたものです。
メキシコの食卓には絶対欠かせないソースであり、数千年前から貧富に関係なくメキシコ全土で食べていました。
ユカタンのアボカドは、日本で売っているものより大きく、4倍ほどの大きさの実もあります。皮が薄
く、種子が小さいのも特徴です。【そんりさvol.154(2015.10)】
材料(4人分)
・アボカド2個
・トマト中 2個
・コリアンダーみじん切り 大さじ2
・タマネギみじん切り 大1
・ハラペーニョみじん切り 大1(辛さが苦手ならば入れなくてもよい)
・レモン(ライム)果汁 大2
・塩、コショウ
作り方
①アボカドの殻と種子をとりのぞき、ペースト状になるまでつぶす(種は捨てない)
②レモンを搾る。種がはいらないように注意する。
③コリアンダーとハラペーニョ、トマトを細かく刻む。
④ボウルですべてを混ぜ、塩コショウで味をととのえる。変色しないように種を入れておく。すぐ食べないなら冷蔵庫に保管する。
つくってみたら
パクチーやハラペーニョがなくてもそれなりにおいしくできます。
ゆでてさいの目に切ったたジャガイモやキュウリを混ぜてもよし。
「ミゲル先生のメキシコ食巡り」は「そんりさ vol.113」(2008.6)から連載しています。
過去のソンリサの一部はPDFで購読できます。
https://recom.r-lab.info/sonrisa/#1
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