スペイン人の到来以前から、古代のメキシコ人は、野菜やキノコ、肉、魚介類をトウモロコシのトルティーヤにのせて半分に折り、まさにケサディージャの形にして食べていました。
スペイン人がチーズと小麦粉をメキシコにもたらすと、まずはトウモロコシのトルティーヤにチーズを詰めて食べるようになり、後に、メキシコ北部で小麦粉のトルティーヤを作るようになりました。
queso(チーズ)という単語から「quesadilla」と呼ばれるようになり、古い料理名は忘れ去られてしまいました。
メキシコ市周辺を襲った1985年の地震までは、ユカタンでは、トウモロコシのトルティーヤでケサディーヤを作っていました。ところが地震後、メキシコ中部の住民が大挙してユカタンに移住してきます。70年代からのユカタンの経済・産業の繁栄もその流れを後押ししました。
異なる食文化をもつ移住者のため、ユカタンのスーパーでも、メキシコのほかの地方の食材を売るようになりました。
ケサディージャは簡単に調理できるため、いそいで外出しなければならない時や、突然の来客があったときに重宝します。私の家では、ケサディージャの材料を常備していました。ふだんは朝食に食べますが、来客にもふるまいました。今もメキシコに帰ると、ケサディージャを食べにでかけるし、親戚や友人宅でも、食卓にのぼらないことはありません。 一品料理であると同時におやつでもあるのです。
日本の家庭の冷蔵庫にも、チーズやレタス、油は常備していると思うので、あとはトマト味のメキシカンソースと小麦粉のトルティーヤを買い足すだけです。どちらも、スーパーで入手できます。私は、ダイエーや成城石井、阪急などで購入しています。
コンビニや、モスバーガーなどのハンバーガーチェーンではトルティーヤを使った商品を見かけます。メキシカンソースや小麦粉のトルティーヤは、すでに日本の料理の一部になっているんですね。【そんりさvol.132=2011.8】
材料 (4人分)
・小麦粉のトルティーヤ 8枚
・ピザ用のとろけるチーズ 大さじ8
・レタス 量はお好み
・サラダ油 大さじ4
・ハラペーニョ薄切り お好みの量
・トマト味のメキシカンソース お好みの量
・キュウリ 1本
作り方
①キュウリとレタスを食べやすい大きさに切る
②ビニール袋にトルティーヤに入れて電子レンジで1分間あたためる(袋は密閉しない)。
③トルティーヤの上に大さじ1ずつチーズをのせ、半分に畳む(半月状に)
④フライパンにサラダ油大さじ1を入れ、ケサディージャ2枚ずつ、弱火で4分間程度、焦げないように気をつけて火を通す。途中でひっくり返して両面を揚げる。
⑤平皿に揚げたケサディージャを2枚ずつのせ、キュウリとレタス、トマトソース、ハラペーニョをそえる。
つくってみたら
レタスやキュウリはなくてもかまいません。
ハラペーニョは、あると味のアクセントが広がります。
つまみにもスナックにもなる一品です。
「ミゲル先生のメキシコ食巡り」は「そんりさ vol.113」(2008.6)から連載しています。
過去のソンリサの一部はPDFで購読できます。
https://recom.r-lab.info/sonrisa/#1
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