ミゲル先生のメキシコ食巡り インゲン豆と豚肉の煮込みFRIJOL CON PUERCO

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「ユカタン人は毎週月曜日ごとに豆と豚肉の煮込みを食べる」と言われるほどユカタン半島の三州(カンペチェ、キンタナルー、ユカタン)では定番の料理です。
 メキシコの他の地域と同様、ユカタンでもインゲン豆をよく食べますが、日本のように砂糖では味付けしません。
 インゲン豆は、繊維やタンパク質、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB2, 葉酸, ビタミンB1、鉄分、亜鉛、マグネシウム、カリウムを含み「完全食品」とも呼ばれます。また、血中コレステロールが増えるのを防ぎ、二種類の水溶性繊維と不溶性の繊維を含むため、便秘や結腸癌のような消化器系の病気を防ぐ効果もあります。繊維は、炭水化物の吸収を遅らせて、血中のブドウ糖をコントロールする効果もあるから糖尿病の治療にも役立ちます。また、繊維が血中コレステロールを引き下げることで、心臓の血管の病気の予防にもつながります。
 私は、日本に来てはじめて小豆などの豆を食べたとき、それが甘いことに本当に驚きました。スーパーマーケットのパック詰めの豆がすべて砂糖で味付けされていることにも衝撃を受けました。今では日本風の豆料理も大好きですが、メキシコ風の味付けもとても美味です。
 今回のユカタン料理は、材料のうちepazote(アリタソウ)だけは日本での入手が困難です。ハーブの一種で独特の香りと味をユカタン料理に加え、ユカタン以外のメキシコ料理にもよく使われますが、アリタソウ抜きでもかまいません。もし入手できたら、よく洗って肉と豆のなかに加えて一緒に煮込んでください。インターネットで調べると、東京のいくつかのメキシコ料理の食材を扱う店で、アリタソウを売っているそうです。
 私が子供のころは、月曜日にこの料理を食べるのが楽しみでした。メキシコに住んでいたころは生のハバネロ唐辛子を丸ごといっしょに食べていましたが、長年の日本生活で味覚と胃が変化して、今ではそんな食べ方はできなくなりました。
 生のハバネロが入手できなければ、瓶詰めでもけっこうです。ハバネロはきわめてユカタン的な材料であり、ユカタン料理に独特の味を添えますが、ピリピリするほど使う必要はなく、風味が感じられる程度でけっこうです。
 最後に、頭が痛くなるほど冷えたビールと一緒に食べることを強くおすすめしておきます。【そんりさvol.126(2010.8)】

▽材料(4人分)
・黒インゲン豆(ブラックビーンズ)缶詰 1缶
・豚のかたまり肉 800g
・トマト 中6個
・コリアンダー 4把
・紫タマネギ 1/2
・ラディッシュ 8
・塩、水
・レモン 1個

▽作り方
①深い鍋で肉とインゲン豆を、肉がかぶる程度の水でゆでる。最初は強火で、塩を好みで加え、肉がやわらかくなったら取り出して、4人分に切り分ける。スープが4人分の量になるように水を加える。(時短のため圧力鍋で10分弱圧力をかけた)
②トマトを洗い、アルミ箔でくるんで、オーブンかグリルで焦げないように気をつけて焼く。よく焼けたら皮を除き、ソース状になるまで包丁を入れる。(めんどうなのでトマト缶を炒めた)
コリアンダーを刻み、トマトソースに加える。紫タマネギもみじん切りにして半分をトマトソースに入れる。塩をふってまぜる。
③レモンを洗って4等分する。
④ラディッシュを洗って適当な大きさに切る。花形にくりぬき、冷水に入れておけば、花が開くようになる(料理をはじめる1、2時間前に)
⑤平皿に肉を置き、トマトソースとラディッシュを飾る
⑥豆のスープは深皿に。
⑦小皿に小さく切ったハバネロ(瓶詰めのチリソースでも可)、レモンを飾る。
⑧トマトソースにレモンをしぼり、豆のスープにタマネギのみじん切りを加えてどうぞ。

つくってみたら

 黒インゲンがないから、赤インゲン(レッド・キドニー・ビーンズ)の缶詰を使用。
 トマトを焼いて皮をむくのがめんどうだから、カットトマトの缶詰を炒めた。夏ならば生のトマトをそのまま炒めたほうがおいしい。ラディッシュはめんどうなので、つかわず。
 肉と豆のスープが一度にできあがるから、豪華に見える割に簡単だった。

上はケサディーヤ
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