ミゲル先生のメキシコ食巡り タラのビスカヤ風BACALAO A LA VISCAÍNA

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 クリスマスも間近になので、干し鱈(棒鱈)とトマト、ジャガイモを組み合わせた料理「タラのビスカヤ風」を紹介します。今回はナマではなく干した鱈をつかいます。
 この料理は、スペイン・バスク自治州のビスカヤ県(県都・ビルバオ)で生まれました。
 スペインのこの地域の食文化は世界でも名高く、なかでもオリーブオイルで味付けするBacalao al Pil-Pil(タラのピルピル)や、Bacalao a Viscaína、Marmitako(カツオとジャガイモの煮込み料理)、Merluza a la Ondarresa(オンダレタ風の鱈料理)、などが知られています。
 バスクとメキシコの料理は、味や香り、色、食材においてお互いに影響を与えあっています。たとえば、「タラのビスカヤ風」で使われるトマトはメキシコ原産です。植民地時代が終わると、政治的理由で数千人のバスク人がメキシコに逃れてきて、のちに国籍を取得しました。その結果、料理にも多大な影響を与え、数世紀の時を経て、多くのバスク料理が、メキシコの食材によって驚くほど豊かになりました。
 今回紹介する料理も名前は「ビスカヤ風」ですが、ユカタン半島スタイルです。
 メキシコではクリスマスには七面鳥を食べるのが一般的ですが、「タラのビスカヤ風」を食べる地域も少なくありません。
 私が子どものころ、母はクリスマスや四旬節の聖金曜日、家族の誕生日などにこの料理をつくってくれました。
 ユカタン半島のマヤ先住民族には干し鱈を食べる習慣は広がらず、大都市の住民のほうがバスク料理の影響を受けていました。しかしほかの州では、この料理はクリスマスの食卓の定番メニューになっています。地域によって料理法はバラバラですがどこで食べてもとても美味です。【そんりさvol.134=2011.12】

材料(4人分)
・棒鱈(乾燥鱈) 300g
・ホールトマト(皮をむいてあるもの)缶詰 1缶
・タマネギ 中1/2
・ジャガイモ 中4個
・ローレル(月桂樹) 1葉
・生のパセリ 2枝
・オリーブオイル 大さじ5
・黄色かオレンジか赤いピーマン 1/2
・塩
・水 1/2カップ
・白ワイン 1/2カップ
・フランスパン

作り方
①棒鱈を前夜から水につける。
②水を捨て、新しい水でゆでる。ゆでた水も捨てる。まだ塩辛い場合は、もう一度ゆでる。
③鱈の塩が抜けたら冷まし、骨を取り除いて指で小さくちぎる。
④ジャガイモを洗って、柔らかくなりすぎないようにゆでる。レンジで3分ほどチンでもよい。皮をむいて、1・5センチ角に切る。
⑤タマネギは薄切り。ピーマンは1センチ角。パセリはみじん切り。トマトはよくつぶす。
⑥フライパンにオリーブオイルをひき、トマトと月桂樹、パセリ、ピーマン、タマネギ、鱈を炒め、白ワインと水を加える。ほぼできあがったらさいの目に切ったジャガイモ加え、ジャガイモが崩れないように気をつけて混ぜる。
⑦塩で味を整える。汁が減るまで煮る。
⑧大きめの平らな皿によそい、フランスパンを添える。

作ってみたら

 棒鱈はポルトガルやスペイン料理で有名。鱈の身の上にビスカヤソースを食べるのが一般的らしい。その料理がユカタンに入ると、中米原産のトマトとジャガイモがたっぷり入り、鱈の料理というより、ジャガイモとのコンビネーションを楽しむ料理になったみたい。
 ハラペーニョとその汁をかけて食べると、味がしまった。ワインのおともにピッタリ。

 ネットで調べると、スペインの本場では、チョリセロピーマンpimiento choriceroを使ったビスカヤソースが決め手らしいけど、カラーピーマンで代用できる。
  スペインでもポルトガルでもフランスでもタラはよく食べられているけど、通常は塩漬けの干しダラを水に浸けて塩抜きしてから使う。生のタラでもよいけど、干し鱈のほうが風味が凝縮しているような気がする。
 ちなみに日本の棒鱈(干し鱈)は、北海道でつくられ、北前船などで関西にはこばれ、棒鱈煮を海老芋と炊き合わせる京都の「芋棒」になったとか。
 乾燥鱈って世界で食べられているんですね。

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