ポクチュクとユカタン豚の危機

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 ポクチュク(Poc-Chuc)はユカタンに大昔から伝わる料理で、炭焼きの豚肉と、黒インゲン豆、コリアンダー、焼いたトマトと焼いたタマネギ、ラディッシュでつくる。
 マヤ人はこの料理に、イノシシや、ユカタン豚、牛の肉を利用していた。
 ユカタン豚はユカタン半島が原産で、通常の豚に比べて小柄で、暗い灰色で体毛がなく、さまざまな野草を食べているから脂身が少ない。昔からマヤに農村の家の中庭で飼われてきた。バナナの皮にくるんで炭と一緒に穴に埋めて焼く伝統料理コチニト・ピビル(Cochinito Pibil)にも利用されてきた。
 だが、欧米の豚に比べて小柄で肉の量が少ないことから、飼育頭数は減りつづけ、1997年、国連食糧農業機関(FAO)は、メキシコにおいてこの豚が絶滅の危機にあると警告した。この年、ユカタン豚の純血種はメキシコ全体で1000頭を切っていた。この数字はさらに減りつづけ、現在ではメキシコ全域で600頭になり、ユカタンでは2008年12月に300頭になったと報告されている。
 ユカタン自治大学やその他の研究機関の専門家たちは、この豚を増やそうとあらゆる努力をしている。
 ユカタン豚の長所は、栄養の豊富さのほか、多くの病気への耐性があげられる。ほかの種類の豚には不可欠なワクチンの接種などを必要とせず、肉の価格をつり上げる原因である特殊な飼料や合成飼料もいらない。
 日本のような先進国の専門家が、ユカタン半島のこの豚の危機に気づき、絶滅を回避するためなんらかの援助をしてもらえたらと思う。
 スペイン人と到来によって、イベリコ豚がもたらされ、それがポク・チュクを大きく変容させ、現在の味を生みだすことになったのである。【そんりさvol.118=2009.4】

POK-CHUK ユカタン風の豚肉料理

材料(4人分)
・豚肉薄切り 500g
・タマネギ 中2個
・トマト 中2個
・レタス 1/2
・ハバネロのチリソース
・トルティーヤ(成城石井やダイエーで入手可)
・Achiote=ベニノキ(日本では入手困難なのでレモン果汁に少量の水と塩とコショウを加えで代用)
・コリアンダー
・レモン 1/2
・塩

作り方
①深皿にレモン果汁を搾り水と塩、コショウを加え、そこに肉を浸したあと、焼く。炭火でもガスでもオーブントースターでもよい。(achioteを使用する場合は、レモン果汁と少量の水のなかでachioteを溶かし、そこに肉を浸す)
②洗ったトマトを丸ごと焼く。よく焼けたら皮をむく。
③タマネギの皮をむき、ちょっと厚めに輪切りにして焼く。
④コリアンダーを刻む(細かくしすぎないように)。
⑤深めの容器で、焼いたトマトと焼いたタマネギをつぶし、コリアンダーと塩を好みで加えてソースを作る。
⑥レタスを洗って3センチ角に切る。
⑧平皿にレタスを敷いた上に肉を置き、トマトとタマネギとコリアンダーのソースをかける。
 トルティーヤと、ハバネロのソースを添える。(タコスのようにトルティーヤで包んで食べてもよい)
 フリホール(インゲン豆)の缶詰に水を加えてミキサーにかけ、鍋で10分ほどあたためてスープにして添えてもよく合う。

つくってみたら

トマトを焼くのはめんどうだからトマト缶を使用。玉ねぎはフライパンで焦げ目をつけた。
レモン味の肉が新鮮。
ちょっと厚めの肉をつかったほうがおいしいような気がする。

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