今回はだれもが知っているタコスを取り上げ ます。
タコスは、豚や牛、羊、鶏、その他の野鳥の肉、魚 介類、豆や米、野菜、チーズ、ソーセージ、ハム…… と無数の素材を使うことができます。なかには、トルティーヤのスープとインゲン豆、チーズを挟んだタコスもあります。塩とバターだけでシンプルに食べるのもよいでしょう。その素材のバリエーションの豊かさ は日本の寿司のようです。
トウモロコシや小麦粉のトルティーヤは、タコスに 独特の風味をもたらします。
メキシコにおけるトルティーヤの歴史は数千年に及び、古代文明から21世紀にいたるまで、多くの人々の 主食でありつづけています。紀元前2000年のオルメカ人も、マヤもサポテカもテオティワカンもアステカの人々もトルティーヤを食べていました。七面鳥やインゲン豆(フリホーレス)をトルティーヤに挟んだタコスは農作業の弁当にしていました。征服者たちもトルティーヤを口にしてタコスの味に魅せられました。豚やイノシシの脂で揚げたタコスも昔からあり、ユカタンには、トルティーヤの間にフリホールをつめて揚げ、トマトやレタス、七面 鳥の肉、ハバネロなどをあしらうパヌチョス (panuchos)という料理があります。
私が子どものころ、家族の誕生日や、独立記念日、その他のさまざまな祭りでタコスを食べました。祭には タコスの屋台がならびます。
それぞれの地域や州に独特のタコスがあり、ユカタンでは、伝統料理コチニタ・ピビル(cochinita pibil) のタコスが有名です。これは、やわらかくて脂の少ない子豚の肉を使います。豚肉は、地面に掘った 穴や、薪やガスのオーブンで焼き、香辛料の液体に漬けられています。
揚げた豚肉を使うタコスや、七面鳥の肉をモーレ (カカオと香辛料のソース)で味付けするタコスもあります。ベラクルス州では、魚介類や、茹でたあとフライにした豚肉のタコスが有名です。
さまざまな特徴をもったソースもまた、タコスに魅力的な味をもたらします。メキシコのタコスの種類は数えきれません。あらゆる人の好みや、あらゆる場にぴったりの、味や香り、色合いのタコスにめぐりあうことができるでしょう。 今回のタコスは、トウモロコシのトルティーヤをつかいます。お口にあえば幸いです。【そんりさvol.138=2012.8】
▽材料 (4人分)
・ トウモロコシのトルティーヤ 16枚
・豚肉細切り 400g
・ピザ用のチーズ 135g
・オールドエルパソの “Taco Spice Mix” 1/2パック (同様の調味料30gでも可)
・レタス
・トマト中2個
・レモン 1/2
・熟したアボガド 1個
・塩 コショウ ・水
▽作り方
①トルティーヤが購入できないときは、トウモロコシの粉に水を加えて円盤状にして、フライパンで焼く。 油も塩も不要。
②肉を細く小さく切る。油を使わず、フライパンで軽く炒 める。“Taco Spice Mix” 1/2パックと水1/2カップを加え、ソース状になるまで炒める。
③レタスを細く小さく切る。
④アボガドの種と殻をとりのぞきペー スト状になるまでつぶす。レモン果汁と細かく切ったトマトを加え、塩こしょうで味をととのえる。
⑤平皿にトルティーヤを広げ、肉と④とレ タス、最後にチーズをのせる。
⑥辛いのが好きならば、ハラペーニョを加えてもよい。
つくってみたら
トウモロコシのトルティーヤがなかったので、小麦のトルティーヤを、レタスのかわりに水菜をつかっています。
スパイシーな肉と、やわらかいアボカド、シャキシャキする水菜(レタス)の組み合わせがぴったりでした。
「ミゲル先生のメキシコ食巡り」は「そんりさ vol.113」(2008.6)から連載しています。
過去のソンリサの一部はPDFで購読できます。
https://recom.r-lab.info/sonrisa/#1
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